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1878年頃作。1879年1月11日初演。
詩人不詳。トスカーナ語の詩に基づく。ロマン・ビュッシーヌ(Romain Bussine 1830-99)編
ドビュッシーやラヴェルなどと並ぶフランス近代の代表的な作曲家フォーレは、生涯に100曲あまりの歌曲を書きました。
《3つの歌》 は、ほかに第2曲『讃歌』(Hymne)と、第3曲『舟歌』(Barcarolle)からなっていますが、
この《夢のあとに》はもっとも広く人々に知られ、彼の代表作となっています。
3連符があり、器楽的な演奏が要求されることから、詩にあわせて作った旋律ではなく、
のちにトスカーナ地方の古い詩の翻案(ビュッシーヌによる仏訳)が加えられたものと考えられています。
もともと歌曲でしたが、幻想的で美しいメロディゆえにヴァイオリンやフルート、チェロでも演奏されるようになりました。
特にチェロの編曲は有名で、現在はチェロのための曲と思っている方も多いようです。
<ビュッシーヌ編> | <あるトスカーナの詩> |
ダンザン ソメイュ ク シャルメ トンニマージュ Dans un sommeil que charmait ton image |
Levati sol che la luna' elevata |
ジュ レヴェ ル ボヌール アルダン ミラージュ Je rêvais le bonheur, ardent mirage, |
Leva dagli occhi miei tanto dormire, |
テ ズィユ ゼテ プリュ ドゥ タ ヴォワ ピューレ ソノール Tes yeux étaient plus doux, ta voix pure et sonore, |
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テュ レイヨネ コマン スィエレクレレ パル ロロール Tu rayonnais comme un ciel éclairé par l'aurore; |
Il bello amante m'ha fatto sparire, |
テュ マプレ ゼ ジュ キテ ラ テール Tu m'appelais et je quittais la terre |
Se lo ritrovo quell' amor giocondo |
プル マンフュイー ラヴェック トワ ヴェル ラ リュミエール Pour m'enfuir avec toi vers la lumière, |
Io mai più mi farò tradir del sonno, |
レ スィユ プル ヌ ザントルヴレ ルール ニュウ Les cieux pour nous entr'ouvraient leurs nues, |
Se loritrovo quell' amor gentile, |
Splendeurs inconnues, lueurs divines entrevues |
mai più dal sonno, mi farò tradire |
エラース エラース トリストゥ レヴェイュ デ ソーンジュ Hélas! Hélas, triste réveil des songes, |
Se lo ritrovo quell' amor giocondo, |
ジュ タペル オ ニュイ ラン モワ テ マンソーンジュ Je t'appelle, ô nuit, rends-moi tes mensonges, |
Se lo ritrovo quell' amor gentile, |
ルヴィヤン ルヴィヤン ラディユーズ Reviens, reviens, radieuse, |
Mai più mai più dal sonno dal sonno |
ルヴィヤン オ ニュイ ミステリユーズ Reviens, ô nuit mystérieuse! |
mi faró tradire! |
《直訳》
君の姿のおとずれし楽しき眠りの中で
わたしは幸福を夢見ていた 燃える蜃気楼のように
君のひとみは柔らかく 君の声はさやけく
曙の映ゆる空のごとく 君は輝いていた
君はわたしに呼びかけ わたしは地上を去って
光に向かい 君とともに逃れゆく
空は二人のために雲のとばりを開き
見知らぬ麗しき眺め 神々しい光を垣間見させる
あわれ あわれ 悲しき夢のめざめよ
わたしは君によびかける おお夜よ おまえの幻影を返しておくれ
帰っておいで 輝いて帰っておいで
帰っておいで おお 神秘な夜よ!