Johann Strauss U Im
Feuerstrom der Reben |
第2幕 終曲U Nr. 11. Finale U Im Feuerstrom der Reben
ワインの火のとばしりに(ぶどう酒の燃える流れに) <アレグロ・コレ・ブリオ ニ長調 四分の二拍子>
七重唱合唱付、別名 「シャンパンの歌」 ここから第2幕のフィナーレとなる。
早いリズミカルな曲にのって、1番をオルロフスキー、2番をアデーレ、3番をアイゼンシュタインが次々と歌い、一同が合唱する。
<ドイツ語歌詞> | <日本語歌詞> |
(ORLOFSKY) Im Feuerstrom der Reben, Tralalalalala, la la Sprüht ein himmlisch Leben, Tralalalalala, la. Die Könige, die Kaiser, lieben Lorbeerreiser, Doch lieben sie daneben Den süßen Saft der Reben. Stoßt an, stoßt an Und huldigt im Vereine Dem König aller Weine, |
(オルロフスキー) 大騒ぎだよ トララララララ ララ 酒はいのち トララララララ ラ 朝ともなれば 恋しいものは なによりもまず ただ飲むだけだ |
※ (オルロフスキー アデーレ アイゼンシュタイン ロザリンデ フランク ファルケ) Stoßt an! Stoßt an! Stoßt an! |
乾杯 乾杯 乾杯 |
(オルロフスキー アデーレ アイゼンシュタイン) Die Majestät wird anerkannt, Anerkannt rings im Land; Jubelnd wird Champagner Der Erste sie genannt! |
さかずきをあげろ あげろ あげろ 酔いつぶれる夜明けまで |
ALLE Die Majestät wird anerkannt, Anerkannt rings im Land; Jubelnd wird Champagner |
(一同) さかずきをあげろ あげろ あげろ 酔いつぶれる夜明けまで |
(ロザリンデ アデーレ) ja genannt. Es lebe
Champagner der Erste! (その他) Der Erste genannt. Es lebe Champagner der Erste! |
恋のシャンパーニュ ばんざい |
(ADELE) Dir huldigen Nationen Tralalalalala, la la Bis zu fernsten Zonen, Tralalalalala, la. Champagner schwemmt mituntòer Gar mancherlei hinunter, Drum lassen weise Fürsten Die Völker niemals dürsten. |
(アデーレ) 昔ローマは トララララララ ララ 酒びたりで トララララララ ラ 朝でも夜も飲めよ歌えで 貴族もネコも酔うては踊る |
※ くりかえし |
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(EISENSTEIN) Der Mönch in stiller Zelle Tralalalalala, la la Labt sich an der Quelle, Tralalalalala, la. Zu netzen seine Lippen, Muß viel und oft er nippen Und holt sich aus dem Glase Rubinen auf die Nase. |
(アイゼンシュタイン) 酒の神さま トララララララ ララ むすめが好きだ トララララララ ラ 好きだとなれば 何をしようと 酔うて酔わせて くだをまこうと |
※ くりかえし |
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(ロザリンデ アデーレ) ja genannt! (その他) Der Erste genannt! |
酔いつぶれるまでは |
《訳》
(オルロフスキー)
葡萄酒の火の中に 楽しい生活が燃え立つ
王様や皇帝は名誉を愛するが 何より葡萄の甘い精を愛する
乾杯! 声を合わせて酒の王を讃えよう
(一同)
乾杯 乾杯!
王者の地位は皆の認めるところ
シャンパンは酒の王と呼ばれる
王者シャンパン 万歳!
(アデーレ)
すべての国が讃える 遠い所の人も讃える
シャンパンは苦しみを洗い流す!
賢い領主は酒を絶やさない!
(アイゼンシュタイン)
静かな僧院の僧も 酒の泉を楽しむ
唇を潤すには たくさん必要
杯のルビーの香りを楽しむ
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ワルツ王、ヨハン・シュトラウスの16におよぶオペレッタ作品のなかで、3番目に作られたもの。
シュトラウス2世は1860〜1900頃のオペレッタ・黄金時代の中心的な人物です。
1874年4月5日、アン・デア・ウィーン劇場での初演は、どういうわけか観客の喝采を受けるに至らず、あまり成功とはいえなかったものの、
1874年夏にベルリンで、ついでハンブルクで上演され、大成功をおさめてから一躍有名になりました。
原作はドイツの劇作家ローデリヒ・ベネディクスの喜劇 「監獄 Das Gefängnis」。
当時ベルリンで上演されていたこの喜劇をもとに、カルメンの台本を書いたアンリ・メイヤックとリュドヴィック・アレヴィがフランスの劇場用に改作したものが
「(クリスマス・イヴの)祝宴(夜食)」 Le Réveillon で、1872年にパリで上演され大成功をおさめていました。
そのうわさを聞いて、アン・デア・ウィーン劇場の支配人マクシミリアン・シュタイナーが台本を手に入れて読みましたが、
パリと違い、ウィーンではクリスマス・イヴに馬鹿騒ぎする習慣がないため、ウィーン向きではないと判断し、パスしようとしました。
しかしシュトラウスと親しい出版屋グスタフ・レディのシュトラウス向きとのすすめもあり、
オペレッタ専門のカール劇場の台本作者カール・ハフナーにウィーン風に書き直しさせましたが、
できあがった台本がおもしろくなかったために、アン・デア・ウィーン劇場の楽長だったリヒャルト・ジュネに改編を頼みましだ。
音楽家としてシュトラウスのことを熟知していたジュネは、ハフナーの台本から登場人物の名前以外はすべてを書きかえ、設定もクリスマスから大晦日に変更しました。
共作者にハフナーの名があるのは彼に気を使ったためで、実際には2人は一度もあったことがないといわれています。
こうして出来上がった台本は、当時のオーストリアの典型的な富裕階級の生活を描き、それを読んだシュトラウスはウィーン郊外の別荘に閉じこもり、6週間で書き上げました。
「こうもり」 には、シュトラウスがめざしたオペレッタの創始者ともいえるオッフェンバックの影響はもちろん、それまでの喜劇スタイルのオペラの要素がすべて包含、
粋なウィンナ・ワルツやしゃれたポルカで覆い、娯楽性の要素の強いオペレッタにあって、ともすれば失いがちになる気品をともなったオペレッタの最高傑作です。
ウィーンの芳香にあふれ、シュトラウスの個性に満ちた音楽性豊かな大傑作となり、オペレッタの王様ともいわれています。
オペレッタはセリフも柔軟でアドリブもあり、それがオペラ専門とオペレッタも歌う歌手が異なるゆえんともなっています。
「こうもり」 のあらすじ
第1幕 Erster Akt
1874年ごろ、ウィーン近郊の温泉町にある裕福な銀行家アイゼンシュタイン邸。
アイゼンシュタインは役人に軽い暴行をはたらいたため、今日、監獄におくられることになっている。
夕方、庭からアイゼンシュタインの妻ロザリンデのかつての声楽教師で恋人だったアルフレッドがセレナードを歌っている。
女中のアデーレは、姉のイーダからオルロフスキー候の舞踏会の招待状を受け取ったが、小間使いの身では行かれそうにないのを嘆いている。
アデーレは病気の叔母を見舞うためという口実で、外出させて欲しいと頼むが、ロザリンデは夫が入獄するからと許可を出さず、軽くあしらわれてしまう。
アルフレッドはロザリンデの夫アイゼンシュタインが入獄したら、よりをもどそうとするが、ロザリンデは罪の意識に逡巡する。
やがてアイゼンシュタインが弁護士ブリントと言い争いながら入ってくる。
どうやらブリントの間抜けな弁護のせいで執行猶予をもらうはずが逆に刑期が5日から8日に伸びてしまったらしい。
そこへアイゼンシュタインの友人で、“こうもり博士(ドクター・フレーデルマウス)”の異名をとる友人で公証人のフリッツ・ファルケ博士がやってくる。
彼は以前、アイゼンシュタインのせいで、こうもり博士とあだなをもらう羽目になったことの仕返しを考えており、
彼に監獄へは明朝入ればいいから、今晩はオルロフスキーの晩餐会に行こうと誘う。
ロザリンデはアルフレードが来ているので、アデーレを追い払うべく、さきほどは断った外出許可を与える。
一同が去ると、アルフレッドが戻ってきて、アイゼンシュタインのガウンをまとい、酒と恋をたたえて歌い始めると、ロザリンデもひきこまれていく。
しかしそれも束の間、典獄長のフランクがアイゼンシュタインを迎えに来る。
他の男を連れ込んでると知られたくないロザリンデはアイゼンシュタインになりすますよう頼み、アルフレッドは監獄へ連れられていく。
第2幕 Zweiter Akt
オルロフスキー候の舞踏会。
ファルケ博士は、どんな遊びにも飽きてしまい退屈な毎日を嘆いているオルロフスキー公爵に、「こうもりの復讐」 という茶番劇の趣向を説明する。
フランスのルナール侯爵というふれこみでアイゼンシュタインが登場。オルロフスキーは集まった皆に好きなように振舞って楽しく過ごしてほしいと挨拶する。
ロザリンデの夜会服を無断で着用したアデーレが女優オルガとして紹介されるが、アイゼンシュタインがうちの女中に似ていると口をすべらしたので、ひどいわと怒ってみせる。
監獄長フランクがシュヴァリエ(騎士)・シャグランの名で現れ、フランス人同士ということで、
ルナール侯爵に扮したアイゼンシュタインに紹介されるが、フランス語ができないふたりの間で妙な会話が展開される。
最後にファルケから手紙をもらったロザリンデが仮面をかぶり、ハンガリーの伯爵夫人として美しく着飾って現れる。
アイゼンシュタインは心をときめかせ、かつて17人の女性を誘惑したといういわくつきの時計を取り出し、妻と知らず口説きにかかる。
ロザリンデは証拠にするため、たくみに時計を取り上げる。
仮面をとらないロザリンデを疑う声が出てきたので、彼女はハンガリー人であることを歌で証明すると言い、チャルダッシュ(ハンガリーの民俗舞曲)を歌い始める。
一同が夜食のテーブルについたとき、ファルケとアイゼンシュタインは「こうもり博士」のあだなの由来を語って、皆を笑わせる。
それによると、去年の暮れ、ふたりはシェーンブルク宮殿の仮装舞踏会に出かけ、アイゼンシュタインは蝶々、ファルケ博士はこうもりの扮装をした。
酔いつぶれて眠ってしまったファルケ博士をアイゼンシュタインは町の広場の真ん中に放り出し、町の人々の笑いものにした。
その仕返しを仕組んでいるファルケ博士とすべてを知っているオルロフスキー侯爵は余裕しゃくしゃく。
泡立つワインの王様とその家来に乾杯と、シャンパンの栓が抜かれ、宴は最高潮。
オルロフスキー公爵が音頭をとり、有名なシャンパンの歌が歌われる。
皆は踊り明かし、朝6時の鐘が鳴ると、入獄する予定のアイゼンシュタインと典獄長フランクは急いで、それぞれに監獄に向かう。
第3幕 Dritter Akt
刑務所内、監獄長の部屋。千鳥足でフランクが帰ってくると、これまた酔っ払った看守フロッシュが迎える。
ふたりの間でとんちんかんな会話をしているうちに、アデーレとイーダがシュヴァリエことフランクに会いに来る。
アデーレは自分の素性を明かすと、フランクの昨夜の言葉につけこんで女優になるための援助をしてほしいと頼み込む。
そこへルナール侯爵ことアイゼンシュタインがやってきたので、フランクはアイーダとイーダを監房に隠す。
ふたりは素性を明かし、お互いに驚く。
自分の名を騙る者が、わが家で妻と一緒にいたことを知ったアイゼンシュタインは事実を確かめようと、ブリント弁護士に変装して、
事態を心配して駆けつけてきたロザリンデと監獄から連れ出されたアルフレッドを問いただしはじめる。
怒りをつのらせたアイゼンシュタインが正体を明かし、二人を追い詰めるが、ロザリンデは昨夜口説かれたときに証拠として取り上げた時計をみせ、逆にやりこめる。
そのときファルケ博士が登場。さらに舞踏会のすべての客人がやってくる。
そして昨夜の夜会はファルケがオルロフスキー公爵の同意を得て、仕返しに仕組んだ茶番、「こうもりの復讐」 であることが明らかにされる。
みな共犯だと言い、本当は有罪に近いロザリンデとアルフレッドもどさくさにまぎれて芝居ということにしてしまう。
一同は「こうもりよ、もうあなたの犠牲者を許してあげましょう」と言い、アイゼンシュタインはすべては
シャンパンのせいなのだといって許しを乞い、一同の陽気な合唱のうちに幕を閉じる。