アメリカ民謡

ロング・ロング・アゴー
(久しき昔 / 思い出)

 Folk song “Long Long Ago”
  作曲 : トーマス・ヘーンズ・ベイリー  Thomas Haynes Bayly 1797−1839
  作詞 : ジャック・ディ・メロ Jack De Mello

Long, Long Ago (ロング・ロング・アゴー)
 久しき昔   訳詞:近藤朔風
Tell me the tales that to me were so dear,
Long, long ago, Long, long ago;
Sing me the songs I delighted to hear,
Long, long ago, long ago.
Now you are come, all my grief is removed,
Let me forget that so long you have roved,
Let me believe that you love as you loved,
Long, long ago, Long ago.
語れ愛(め)でし真心
久しき昔の
歌え床(ゆか)し調べを
過ぎし昔の
汝(なれ)帰り ああ うれし
永き別れ ああ 夢か
賞(め)ずる思い変わらず
久しき今も
Don't you remember the paths where we met?
Long, long ago, Long, long ago?
Ah! then, you told me you never would forget,
Long, long ago, Long ago.
Then, to all others my smile you preferred,
Love, when you spoke, gave a charm to each word,
Still my heart treasures the praises I heard,
Long, long ago, Long ago.
愛(あい)し小道忘れじ
久しき昔の
汝(な)忘れそと告げたる
久しき昔の
わが笑(えま)い 人に賞(ほ)め
汝(な)が語る 愛に酔う
その言葉なお胸に
久しき今も
Though by your kindness my fond hopes were raised,
Long, long ago, Long, long ago;
You by more eloquent lips have been praised,
Long, long ago, Long ago.
But by long absence your truth has been tried,
Still to your accents I listen with pride,
Blest as I was when I sat by your side,
Long, long ago, Long ago.
いよよ燃ゆる心(情)や
久しき昔の
語る面(おも)は床(ゆか)しや
過ぎし(久しき)昔の
長く汝(なれ)と別れて
いよよ知りぬ真心
共にあらな楽しや
久しき今も


《訳》
懐かしい話をきかせてください、
ずっとずっと昔の
喜んで聞いたあの歌を歌ってください
ずっと遠い昔の
あなたがきてくれた今、私の悲しみは消え去りました
忘れさせて下さい、あなたの長いさすらいを
信じさせてください、あなたは昔のままに愛していると
遠い遠い昔のように

私たちが出会ったあの小道を覚えていますか
ずっとずっと昔の
ああそうでした、あなたは絶対忘れないと言ったのです
昔々、ずいぶん昔に
ほかのすべてのものよりあなたが好んだ私の微笑み
あなたが話したとき、愛は言葉すべてに魅力を与えました
私が聞いたそれらの賞賛の言葉は今でも心の宝物です
昔々、ずっと昔から

あなたの優しさによって、私の希望はもたらされました
ずっとずっと昔に
あなたのほうがより雄弁に称賛されていました
遠い遠い昔から
けれども長い不在によって、あなたの真心は試されました
今でもあなたの言葉を聞くと誇らしくなります
あなたのとなりに座っていた時のように幸福でした
ずっと遠い昔のことです

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アメリカのフォークソングということになっていますが、19世紀前半に活躍したイギリスの作曲家、トーマス・ヘーンズ・ベイリーが1833年に古くからあったイングランド民謡を今の形に整えたといわれています。
作詞は、ジャック・ディ・メロ。 
久しぶりにあった昔の恋人と、過ぎ去った日々の思い出を語り合い、ともに懐かしんで再会の喜びをかみしめるノスタルジックな歌詞で、
元の題名は、“The Long Ago”でしたが、1848年、アメリカで出版されてから、“Long, long ago” となりました。
日本には明治の初期に入ってきており、古くは1890(明治23)年8月に発刊された『明治唱歌(1)』に「旅の墓」(大和田建樹、作詞)の題名で発表されて以来、素朴な旋律で親しまれています。
1913(大正2)年、近藤朔風が、長い間別れていた遠い昔の恋人が帰ってきて、昔の思い出を語り、今も愛は変わらないと告げる、原詞に近い訳詩「久しき昔」と題して発表しました。
1947(昭和22)年発刊の『6年生の音楽』に掲載された、古関吉雄の「思い出」が登場してからは、こちらの歌詞で歌われることが多くなりましたが、アクセントが逆になっているため、冒頭の「垣」を「柿」だと思っている人が多いようです。

古関 吉雄 作詞

思い出
文部省唱歌(イングランド民謡)

垣(かき)に赤い花さく いつかのあの家
ゆめに帰るその庭 はるかなむかし
鳥のうた木々めぐり そよ風に花ゆらぐ
なつかしい思い出よ はるかなむかし

白い雲うかんでた いつかのあの丘
かけおりた草のみち はるかなむかし
あの日の歌うたえば 思い出す青い空
なつかしいあの丘よ はるかなむかし

伊藤武雄 作詞

よく訪ねてくれたね よくまあ ねえ君
よく訪ねてくれたね さあさあ かけたまえ
今日までの出来事を みな話そう お互いに
よく訪ねてくれたね まあまあ かけたまえ

あの頃はお互いに まだまだ幼くて
よくけんかをやったよね ほんとに なつかしい
あの角(かど)のお菓子屋の 娘さんはどうしたろ
あの頃はお互いに ずいぶんあばれたね

よくここを忘れずに よくまあ ねえ君
よく訪ねてくれたね ぼくは うれしいよ
この次は 君の家 ぼくはきっと 訪ねるよ
そうだ次の日曜に では さようなら

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