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Giacomo Puccini |
銃殺が決まったカヴァラドッシはトスカに別れの手紙を書きはじめるが、夜が明ければ訪れる死をまえにして
彼女との思い出に心が乱れ、絶望の頂点に達して感極まって泣き伏す。
心情吐露が前面に押し出されたヴェリズモ(真実主義)・オペラ特有の名アリア。
| E lucevan le stelle | 星も光りぬ |
| (Cavaradossi) | (カヴァラドッシ) |
| エッ ルチェーヴァン レ ステッレ E lucevan le stelle... |
星も光りぬ |
| エ オレッツァーヴァ ラ テルラ e olezzava la terra... |
土の香りも |
| ストリデーア ルッショ デッロルト stridea l'uscio dell'orto... |
ほのめく宵に |
| エ ウン パッソ スフィオラーヴァ ラ レーナ e un passo sfiorava la rena... |
庭の戸はきしりて |
| エントラーヴァ エッラ フラグランテ Entrava ella, fragrante, |
人のかげ見ゆ |
| ミ カデーア フラッ レ ブラッチャ mi cadea fra le braccia... |
走り寄るわれ |
| オ ドルチ バーチ オ ラングイデ カレッツェ Oh! Dolci baci, o languide carezze, |
燃ゆる心に手を取れば |
| メントリーオ フレメンテ mentr'io fremente |
星明かり |
| レ ベッレ フォルメ ディッショッリェーア ダイ ヴェーリ le belle forme disciogliea dai veli! |
闇に浮かぶ 花のおもは |
| ズヴァニィッ ペル セムプレ イル ソンニョ ミーオ ダモーレ Svanì per sempre il sogno mio d'amore... |
あわれ消えはてし夢よ |
| ローラ エッ フッジータ L'ora è fuggita... |
棄(す)つる身の |
| エン ノノ アマート マーイ タント ラ ヴィータ E non ho amato mai tanto la vita! |
幸(さち)の日はとわに逝きぬ |
| タント ラ ヴィータ Tanto la vita! |
ああ去りぬ |
《直訳》
星はきらめき・・・
大地は良い匂いを立ち昇らせていた・・・
菜園の戸がきしみ 足が砂地を軽く触れるように進んできた・・・
かぐわしい香りをさせた彼女が入ってきて 私の腕の中に倒れかかる・・・
おお なんと甘美なキス 悩ましい愛撫
そのあいだに私は震えながら
美しい姿を衣服から解き放とうとしていた!
だが消えてしまったのだ 永遠に 私の愛の夢は・・・
時は逃げ去ってしまったのだ・・・
そして私は今 絶望のうちに死んでいく!
これほど命をいとおしんだことはない!
いとおしんだことは!