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西遊記あらすじ 第31回〜第40回
ものすごく省略しています。興味があったら、ぜひ本を読んでみてください。 |
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第31回 〜悟空、戻る。
悟空は目の前に引き出された八戒に、三蔵がどんな災難にあったのか報告させます。
黄袍怪の話を聞いて、なぜ孫悟空が一番弟子だと言わなかったんだと聞くと、八戒はわざと怒らせようと、言ったけど相手はばかにしただけだと答えました。
それを聞いて怒り心頭の悟空、おれさまの悪口をたたいたからにはやっつけずにはいられないと、八戒と一緒に故郷をあとにしたのでした。
黄袍怪のすみかに着いた悟空、黄袍怪のこどもふたりをさらい、引き換えに悟浄を放せとわめきます。
公主はとらえられていた悟浄を放しますが、悟空は八戒と悟浄に、こどもを王様の宮殿の階段にぶんなげて、黄袍怪をここにおびきよせるよう言いました。
こどもを返さない悟空を非難する公主でしたが、悟空のもっともな言葉に自分を恥じ、悟空のいうとおり、奥に隠れていることにします。
こどもを連れて宝象国へ戻った八戒と悟浄、本当にふたりの子供を階段めがけてぶんなげました。
あわれ、子供は即死です。天から人間が降ってきたと驚く朝廷の群臣に、八戒がそれは黄袍怪の子供だと大声で言います。
それを聞きつけた黄袍怪、しかし二日酔いがひどく、まずは家に戻り、あれがほんとに自分の子かどうか確かめることにしました。
黄袍怪が洞窟に戻ってくると、公主になりすました悟空が涙ながらに子供がさらわれたと訴えます。
本当に自分の子供だったと知った黄袍怪、正体をあらわした悟空と激しい戦いになりました。
両者の腕はほぼ互角。悟空がわざと隙をみせて、相手を誘い込み、一撃を与えると、とたんに黄袍怪は消えうせてしまいました。
雲にとびのり、あたりを眺めても見つかりません。
悟空は、黄袍怪が悟空に見覚えがあると言ったことを思い出し、天界から来たに違いないとあたりをつけ、さっそく調べに行きました。
すると、奎星(けいせい)奎木狼(けいもくろう)が13日前からいないことが分かりました。
天界の1日は下界の1年なので、下界では13年たったことになります。さっそく連れ戻せとの命が出て、27人の星官たちが天門を出て行きます。
奎星は碗子山の谷川に身をひそめていたのですが、星官の唱える呪文を耳にすると出頭し、仲間にくっついて天界にあがってまいりました。
玉帝の御前にひったてられて説明するに、公主はかつて天界で自分に言い寄った、香をたく玉女が下界に落ちて生まれ変わった者。
その前世の因縁で、自分も妖魔となり、公主をさらって夫婦になったとのことでした。
玉帝は奎星を太上老君の炉の火炊きに左遷し、そのはたらきぶりいかんで復職か、さらに罰をくわえるか決めることとしました。
この処分に満足した悟空は玉帝や神々に、手間をとらせたね、などと軽い口調で言って去っていったものですから、天師が田舎ものだと笑ったところ、
玉帝は、「あれがことを起こしさえしなければ、天界は平和そのものなのだよ」 とおっしゃったのでした。
地上に戻った悟空は、公主を国王のもとへ連れて行き、これまでのいきさつを説明しました。
悟空が虎と化した三蔵を元に戻すと、三蔵は悟空の手を取り、くりかえし礼をのべて、共に西をめざすことになったのでした。
第32回 〜金角、銀角、登場。
季節はめぐり、春。またも行く手をさえぎる山が見えました。
けわしい山道を行く途中に出会った樵夫が言うには、この山は平頂山。
山のなかには蓮花(れんか)洞という洞窟があって、そこにすむ魔物二匹は唐からくる坊さんをつかまえようとしている。
そして、いつも5つの宝を身につけているおかげで、すごい神通力を持っているとのことです。
じつはその樵夫は三蔵を守護する諸神のひとり、日値功曹で、それほど化け物はすごく、少しでも気を抜くと西天にはいけないと忠告にきたのでした。
その言葉を重く受け止めた悟空、八戒をうまくつかおうと策略をめぐらし、目をこすって、むりに涙を出してから戻ってきます。
その様子を見た八戒、白馬を売っぱらって棺桶を買い、それで師匠の弔いをして解散だ、などと言い出します。
三蔵は気弱なことをいう悟空に、八戒と悟浄もいる、悟空の計略によって指図し、皆で心をひとつにして力をあわせようと訴えます。
悟空の芝居が、三蔵のこの言葉を引き出したのです。そこで悟空は涙をふいて、八戒に山のみまわりをしてもらいたいと切り出します。
勇んでいった八戒ですが、はたして悟空の予想どおり、さぼってろくに見回りせず、嘘の報告をでっちあげて戻ってきました。
実は悟空は羽虫に化けて、一部始終を見ていたのです。一喝され、八戒は今度こそまじめにみまわりに出かけていきました。
さて連花洞には、金角大王と銀角大王という二匹の妖怪がすんでいました。
唐の坊主は、金蝉長老が下界にくだり、十世にわたって修行したすごいやつで、そいつの肉を食えば不老長寿まちがいなし、などといっています。
金角にいわれて、銀角も唐の坊主がきていないか、子分の妖怪たちをひきつれて山のみまわりにでることにしたのでした。
運悪く、八戒は銀角とばったり出会ってしまいました。八戒は捨て身で戦いましたが、多勢に無勢。
銀角の子分たちにおさえこまれ、洞窟のなかにかつぎこまれてしまったのでした。
第33回 〜悟空、宝のふたつを手に入れる。
八戒を生け捕りにした銀角、唐僧も近くにいるはずだと金角にいわれ、もう一度見回りにでかけます。
悟空の神通力のすごさを知った銀角は策を弄することにしました。
子分たちを帰らせると、足を怪我した年老いた道士の姿になり、道端で三蔵らを待ち、悟空におんぶしてもらうことにします。
もちろん悟空はそれが化け物だとすぐに分かりましたが、三蔵の言葉に従い、おぶっていくことになりました。
銀角は山を移す神通力を使い、悟空の右肩に須弥山を、左肩に峨眉山を、泰山を脳天に落とし、悟空を圧しつぶします。
そうして三蔵をつかまえに行き、悟浄が降妖杖で向かえ撃てば、銀角は宝刀、七星剣で正面からわたりあいます。
やがて悟浄の力およばず、三蔵、白馬ともども銀角につかまえられ、連花洞へと連れ去られたのでした。
悟空以外の全員をつかまえた金角、銀角。
山の下敷きになっている悟空を宝である銀角の赤銅の紅葫蘆(べにひさご)、金角の琥珀の浄瓶(じょうびょう)に閉じ込めようと、
子分を呼び、宝の底を天に向け、口を地面に向けて悟空の名前を呼べ、返事をすれば、このなかに吸い込まれるから、そうしたらすぐに
「太上老君 急急如律令(きゅうきゅうじょりつれい・道教で祭礼のとき、天界の諸将によびかける決まり文句の呪文。もとは、
玉帝の命令には天界諸将は従わなければならない。それも皇帝の発した律令に皆が即刻したがうように急げ、という意味で天界諸将や神兵の降臨を願う言葉) 奉勅」
と書かれているお札を貼り付けろ、と使い方を説明して送り出します。
その間、悟空のもとに山神と土地神がやってきて、山をもとの場所に戻し、悟空を自由の身にしました。
金角、銀角が土地神らを呪文で呼びつけ、当直をさせていると聞き、悟空は、「天よ、孫さまを生み、なおかつこんな輩をも生むとはいかなるおつもりですか」と、
さながら三国志演技(第57回)にある、周瑜の最期の言葉のように憤嘆します。
と、そこへ子分らが宝を持ってくるのに気づき、悟空は土地神らを帰らせると、老いた道士に化けます。
そして宝の使い方を聞き出すと、自分のにこ毛を変化させた大きな紅葫蘆を天をも封じ込められる宝として見せます。
本当に天を封じ込められたら、金角、銀角から預かった宝物と交換してもいいと聞き、悟空は日遊神、月遊神を呼び出し、大急ぎで玉帝のところへ行かせ、
少しの間、天を封じ込めていただきたいとお願いするよう言います。 それを聞いた玉帝、それはならんと断ろうとしましたが、そのときナタ三太子が進み出て、
北天門に行き、真武君より黒旗を借りて、それを南天門でひろげれば日月星辰がおおわれて地上ではまっくらになるだろう、そうしておいて、
天を封じこめたと妖怪を言いくるめれば悟空を助けることができる、と奏上します。
玉帝は許可し、日遊神、月遊神はいそぎ悟空のもとにおりて耳打ちすると、悟空はこれから天を封じこめてみせると、ひさごを上に向けて放り投げました。
まさにそのとき、ナタ太子が黒旗を広げ、日月星辰をおおいかくしてしまったので、地上は真っ暗になりました。
そんなわけで、悟空は子分から紅葫蘆、琥珀瓶をだまし取ることに成功したのでした。
第34回 〜ひさご争奪戦。
さて、悟空のにせひさごと交換した子分ふたり、さっそく試してみましたが、もちろん何も起こりません。
そうこうしているうちに悟空がひさごに変えていたにこ毛を戻してしまったので、影もかたちも見えなくなってしまいました。
逃げようか相談する子分たちですが、やっぱり帰ろうと、とぼとぼ帰途につきました。
その子分たちのあとを、ハエに化けた悟空がついていきます。
子分たちから話を聞いた金角、銀角、すぐに悟空のしわざと分かり、幌金縄(こうきんんじょう)という宝でつかまえようと、
それを持っている圧龍山圧龍洞にいる母親のもとへ使いを送ることにします。
ずっと話を聞いていた悟空は使いの子分たちを殺し、その子分に変化すると、圧龍洞の老婆のところへ行きました。
妖怪にひれ伏して礼をするのは、悟空にとって屈辱的なことでしたが、お師匠さまのため、と覚悟を決めます。
そして金角らのところへ向かう途中で殺したところ、老婆の正体は九尾の狐でした。
今度は殺した老婆に化けて、金角、銀角のもとへいきますが、ふたりと話しているとき、山まわりの子分らがやってきて、悟空が老婆になりすましていると報告します。
銀角は七星宝剣を手に悟空に斬りかかり、激しく戦いますが、武器ではなかなか決着がつきません。
そこで悟空が幌金縄を投げつけて銀角をからめとろうとすると、銀角は鬆縄呪(しょうじょうじゅ)という縄をゆるめる呪文を唱えて逃れ、
逆に悟空に向かって縄を投げつけ、緊縄呪(きんじょうじゅ)という縄をしめつける呪文を唱えたので、悟空はつかまり、ひさごと浄瓶も奪われてしまいました。
とらわれの身になったものの、悟空は如意棒をやすりに変え、抜け出すと、自分の毛を一本変化させ、ニセモノを残しておきます。
そして手下に化けると、悟空が逃げ出そうとしているから、もっと太くて丈夫な縄と変えたほうがいいといって、まんまと幌金縄を手に入れることに成功したのでした。
外に出ると、悟空は門のところでわめき、孫行者(悟空)の弟、者行孫と名乗ります。
銀角はひさごを手にして「者行孫」と叫びました。本当の名じゃないからだいじょうぶだろうと思い、返事したのですが、名前の真偽は関係なかったのです。
悟空はひさごのなかに吸い込まれてしまいました。
しかし一匹の小さな羽虫に化け、ひさごの口のあたりに止まり、もう溶けたころあいとのぞいたときに外に飛び出します。
すかさず子分に化けると、金角から杯をうける銀角からひさごを受け取り、自分の毛で作ったにせものとすりかえたのです。
知恵者の悟空、そっとその場から立ち去ったのでした。
第35回 〜VS 金角&銀角、決着。
外へ出て行った悟空、今度は行者孫と名乗って、入り口で騒ぎます。
ニセモノのひさごを手に出て行った銀角に、悟空も本物のひさごを見せ、自分のが雄で、銀角のもっているのが雌のひさごだと言いました。
先に銀角から名を呼ばせましたが、ニセモノなので当然何も起こらず、銀角は雌は雄に会うと怖がって仕事をしないとくやしがります。
その後、悟空が名を呼び、仕方なく銀角が返事すると、ひさごの中に吸い込まれ、なかで溶けてしまいました。
銀角がひさごのなかで溶かされたことを聞いた金角、嘆き悲しみ、ほかのふたつの宝、七星剣と芭蕉扇を持って悟空に戦いを挑みます。
悟空の身外身の法で囲まれた金閣は芭蕉扇を取り出し、南に向けてバサッとあおぐと、地上からすさまじい炎が燃え上がりました。
たまらず悟空は分身をもとのにこ毛に戻すと、一本だけにせ悟空としてその場にのこし、本物は蓮花洞に師匠を助けにむかいます。
しかし途中で琥珀の浄瓶を見つけると、悟空は師匠の救出をあとにして、外へ駆け出していきました。
そのあと金角が蓮花洞に戻ってきましたが、子分は皆、悟空に殺されており、シーンとしています。
泣く泣く洞内に入り、やがて石のテーブルに突っ伏し、眠りに落ちてしまいました。
悟空がふたたびやってきて、金角が寝ていることに気づき、今度は芭蕉扇を盗んで、外に飛び出しました。
金角が気づいて追いかけ、ふたたび戦いになりますが、日が暮れかかり、かなわぬと見ると、西南の圧龍洞へと逃げていきました。
悟空は蓮花洞へ行き、今度こそ師匠たちを助けます。三蔵は悟空に感謝し、今晩はここに泊まり、翌朝出発することにしたのでした。
一方、圧龍洞へ逃げた金角は親類の妖怪らを引きつれ、朝、蓮花洞へ攻めてきました。
悟空は手に入れた宝物を身につけると、三蔵の護衛を悟浄に任せ、八戒とうってでます。
のちに様子を見にきた悟浄も応援にかけつけ、かなわぬと見た金角は逃げ出します。
そこで悟空は浄瓶を構え、金角大王と叫ぶと、味方の生き残りが呼んだと思った金角は返事をしてしまい、浄瓶のなかに吸い込まれてしまいました。
こうして妖怪らをすっかり平らげた悟空らは西天への旅へと出立します。
道の途中、突然、太上李老君が現れ、宝を返せといってきました。
実は、金角は老君の金炉の番をする童子、銀角は銀炉の番をする童子で、五つの宝であるひさごは仙丹を盛るもの、浄瓶は水を入れるもの、
宝剣は妖魔を従えるためのもの、扇は火を扇ぐもの、そして縄は上着にしめる帯だったのでした。
監督不行き届ではと悟空が言えば、もとは南海の観音が西天取経のかたい志があるか確かめるために、三回も頼みにきて童子たちを借りていったとのこと。
それを聞いて悟空は心中ひそかに、観音は苦難のときにはみずから行って救ってやろうと言ったのに、約束が違うじゃないかと思いましたが、
老君には素直に五つの宝を返したのでした。
老君がひさごと浄瓶のふたを開けると、ふたすじの仙気が出てきて、それを指差すと金と銀の童子となりました。
童子は老君の左右にはべると、そろって天へと帰っていきました。
第36回 〜宿のとり方。
ますます西天取経の意思をかためた三蔵一行、八戒が荷をかつぎ、悟浄が馬のくつわをとり、悟空が棒を手に先頭に立ち、前進を続けます。
やがて前方にけわしい山が見えてきました。 日が暮れてきたので、かなたの山の谷あいにある寺で宿を求めることにしました。
しかし勅賜宝林寺の住職はぼろぼろの服の三蔵を見て、軒下でしゃがんでおれ、と冷たく言います。
あまりのいい様にわけを尋ねると、以前、みすぼらしい坊さんを泊めたところ、7,8年居座られたうえ、さんざん悪さをしたとのこと。
三蔵は怒りをこらえ、外でまっている悟空たちのところへ戻っていきました。
そこで悟空がなかに入っていき、わめき散らして、石獅子を棒で粉砕します。
すっかり恐れをなした住職、一転して、丁重に三蔵一行をもてなすことにしたのでした。
第37回 〜幽霊となった烏鶏国王、三蔵に会う。
夜、経を読んでいた三蔵がうとうとしたころ、外から「御僧」と呼ぶ声が聞こえました。
見ると、庭に全身びっしょりと濡れておりますが、主君たる立派ないでたちの男が涙ながらに呼びかけているのです。
三蔵、手を取ろうとしましたが、むなしく空をつかむばかり。 わけを尋ねたところ、自分は烏鶏(うけい)国の国王だが、
以前、国がひどい旱魃に見舞われた、 そして数年経過したとき、鍾南山(しょうなんざん)から道士がやってきて、雨乞いで雨を降らせてくれた。
国王は道士と義兄弟の契りを結んだが、三年前、井戸に突き落とされ、以来、その道士が自分に化けて国を支配している。
月遊神の起こした風にのって、ここへやってきたが、月遊神が言うには、三年にわたる水難も、もう厄難があけたから、三蔵に会えとのこと。
さらに弟子の斉天大聖たる悟空は妖怪を退治するのにすぐれているから、あの妖魔をとらえ、正邪を明らかにしてほしいと頼みにきたのでした。
そして翌朝、国王の血をひく世継ぎの太子が狩りに出かけるから、そのときに自分が言ったことを伝えて欲しいと、信じなかった場合の証拠の品として、
国王が手にする宝ものである、金でふちどりした白玉の珪を預けました。
三蔵がうなずくと、国王は皇后の夢枕に立って、母子ともども三蔵たちに協力するようにさせると言い、去っていきました。
進み出て見送ろうとしたとたん、三蔵は何につまづいて転んでしまいました。はっとして目をさませば、それは南柯の夢だったのです。
不安にかられた三蔵が弟子たちを呼び、今までのできごとを話し、外をのぞいてみたところ、たしかに白玉の珪が置かれています。
本当の話だと知った悟空は、妖怪退治を請負い、そのために三蔵にやってもらいたいことを提案します。
三蔵は了承し、やがて夜が明けました。
悟空はさっそく烏鶏国に飛んでいくと、ちょうど東の城門が開き、狩りにいく人馬が勢い良く出て行くところでした。
悟空はウサギに化けると、太子を宝林寺におびきよせ、なかで三蔵が捧げ持っている白玉の珪がはいった朱塗りの小箱のなかに小人となってもぐりこみました。
三蔵は太子に、宝ものを奉るため雷音寺に行く者で、小人に変化した悟空を立帝貨という
過去から未来にかけての千五百年にわたる出来事をすべて知っている宝ものだと説明します。
立帝貨は昨晩、国王が言ったことを太子に告げますが、白玉の珪を見せても、三蔵が道士なのだろうと信用しません。
悟空は昨晩のことを太子に話し、そんなに疑うなら母親に尋ねてみるといいと、白玉の珪をわたし、こっそり城に戻らせるのでした。
第38回 〜烏鶏国王の遺体回収。
烏鶏国の太子はまっすぐ母親のもとへ行き、国王が夢枕にたったことを聞くと、白玉の珪を母に預け、寺にとってかえしました。
悟空を信用した太子は、いったん狩りの者たちと城に戻ることにします。
その夜、悟空と八戒は国王が突き落とされたという井戸をあばき、にせ国王の証拠とするために死体をとりに行くことにしました。
如意棒につかまり八戒が井戸のなかにおりていくと、井戸の底は深く、井戸龍王の水晶宮となっていたのでした。
死体ではなく宝物があると聞いて悟空と一緒にきた八戒は、龍王に宝物をねだりますが、これしかないと国王のなきがらを見せられます。
死体は三年前であるにもかかわらず、定顔珠で固められ、腐っていません。
悟空にそれが宝物だから持ってこいと言われ、しかたなく八戒は死体を担いで井戸から出てきました。
結局、寺まで死体を背負わされた八戒、肚(はら)のなかでなんとか悟空に仕返ししてやろうと思っています。
八戒は三蔵に、緊箍呪を唱えれば、悟空がきっと死体を生き返らせてみせるとそそのかし、また三蔵も人の言葉に左右されやすいこともあって、
本当に緊箍呪を唱えたのでした。
第39回 〜にせ国王騒動、解決。
頭が痛くてたまらない悟空、閻魔王から魂をもらい受けてくるといいましたが、またもや八戒が、
さっき悟空は閻魔王のところへ行かなくてもこの世で生き返らせることができるといばっていた、などとでたらめを言うものですから、三蔵はまたもや緊箍呪を唱えます。
悟空はあわてふためいて、ついつい承知してしまいました。八戒は笑い転げています。
悟空が兜率(とそつ)天宮の太上老君から九転還魂丹を一粒もらってくるあいだ、他の三人は国王の弔いをすることになりました。
芭蕉扇で火をおこし、金丹を煉っていた老君、やってきた悟空を見るなり、金丹泥棒が来たと警戒しますが、結局は九転還魂丹を一粒わたします。
金丹を飲ませ、悟空が息を吹き込むと、国王は生き返りました。
国王を荷物運びに見せかけ、三蔵一行は通行手形に印をもらうため、にせ国王に謁見します。
悟空の言葉で、荷担ぎの寺男が本物の国王だとわかった魔王は、雲にのって逃げてしまいます。
すぐに悟空が見つけ出し、戦いになりますが、かなわぬと見てとった魔王、宮殿にとんぼがえりし、三蔵に化けて、本物と手をつないで立ったのです。
瓜二つで、悟空といえども見分けがつきません。 しかし八戒の提案で緊箍呪を唱えさせたところ、ムニャムニャいってるニセモノが分かりました。
雲にのって逃げた魔王を追って、八戒、悟浄、そして頭の痛みから解放された悟空が追いかけます。
悟空が一撃を加えようとしたまさにそのとき、東北のかなたの虹色の雲から、手をくだすでない! と鋭い声が聞こえました。
振り向くと文殊菩薩です。菩薩は正体を照らし出す照妖鏡を出し、妖魔を照らしました。
鏡にうつったのは、文殊菩薩の乗用の青毛の獅子でした。
菩薩が言うには、凡僧の姿に身をやつし、わざと非難の言葉を投げつけた文殊菩薩を烏鶏国王が三日三晩、宮殿内の濠で水漬けにしたので、
如来がこの獅子王をさしつかわし、国王を三年間、水漬けにしたとのこと。
菩薩はもとの姿に戻った獅子を蓮の花びらでくるむと、その上に乗り、去っていったのでした。
第40回 〜紅孩児、登場。
こうして烏鶏国が平和になったのを見届けた三蔵たち、名残りを惜しむ王に別れを告げて、西天へと旅立ちます。
時は初冬。烏鶏国を去ってから半月あまり。またも行く手に高い山が見えてきました。
山にさしかかると、山のくぼみから赤い雲が湧き立ち、そのまま天高くのぼると、かたまって一団の火になりました。
さて、その火のなかには妖怪がおりました。 この妖怪も三蔵は金蝉長老の生まれ変わりで、十世にも渡って修行を積んだ聖者だから、その肉を一切れでも食べたら
不老長寿まちがいなく、天地と寿命をひとしくするであろうと聞いていたので、だましてつかまえようと考えました。
そこで松の木に吊り下げられている子供に化けて、助けを求め、三蔵に近づきます。
もちろん悟空はそれが妖怪だとわかっていたのですが、三蔵はどうせ信じないだろうということと、緊箍呪が怖いというのもあって黙っていました。
悟空におんぶされた子供は重身の法を使って圧しつぶそうとしますが、悟空に見破られ、にせのからだを残し、本体は空に逃げ出します。
どんどん背中が重くなるので、悟空はついに堪忍袋の緒を切り、にせものの身体を石に投げつけて、ぶっつぶしてしまいます。
それを上から見えていた妖怪、頭に来て、一陣の旋風を巻き起こし、三蔵をさらっていきました。
三蔵が消えたのを知った悟空はいきなりここで解散しようと言い出します。 八戒は同意しますが、悟浄はおどろき、止めようとします。
悟空がいうには、「おれさまの火眼金睛は妖魔を見分けることができる。しかし、いかんせん師匠はおれさまの忠告に耳をかたむけない。
だからついがっくりして言い出したんだ」 と、あらためて八戒に意見を求めますが、今度は八戒も解散すべきでないといい、
皆で心をひとつにして三蔵を助けようという結論に落ち着きます。
山を行くと、山神と土地神が悟空にあいさつにやってきました。 彼らが説明するには、
ここは六百里鑚頭号山(さんとうごうさん)という山で、山のなかほどにある枯松澗(こしょうかん)という谷のほとりに火雲洞という洞窟がある。
そこに住んでいる妖怪は牛馬王と羅刹女のせがれで、火焔山で三百年修行し、水でも消せない三昧(さんまい)の真火をあやつる。
幼名を紅孩児(こうがいじ)、号を聖嬰(せいえい)大王といい、牛魔王の命令でここを担当しているとのこと。
それを聞いて悟空はおおよろこび。山神たちをさがらせると、八戒と悟浄に牛魔王とは義兄弟の仲だから、三蔵を返してくれるだろうと話します。
悟浄に馬と荷物の番をさせ、もう何百年もあっていないのに縁者なんて思ってくれるかねという八戒を連れて、悟空は洞窟に向かったのでした。
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