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西遊記あらすじ 第81回〜第90回
ものすごく省略しています。興味があったら、ぜひ本を読んでみてください。 |
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第81回 〜三蔵、病気になる。
沈海禅林寺にて食事をすませると、一同、寝についたのですが、朝になっても三蔵が起きてきません。
どうやら熱があるようです。弟子たち3人はなにくれと師匠のお世話をし、3日たちました。
三蔵はすっかり気弱になってしまい、遺書を書こうとする始末。
それを笑いとばした悟空、解散しようという八戒に三蔵の前世である金蝉長老は如来の第二の弟子だったが、如来の説法のとき、
うっかりうたたねし、ぐらっとした拍子に左足で米をひと粒踏んでしまった。
そのために三日間病気をすることになったと説明します。
それを聞いて気力が出てきたのか、三蔵はのどがかわいたと言い、悟空が水をもらいに行くと、寺の坊さんたちが皆、しのび泣いています。
どうやら妖怪がすみついてしまったらしく、この三日の間に小坊主が6人食われてしまったとのこと。
妖怪退治を引き受けた悟空、水を飲んだ三蔵が元気になってきたとみると、今夜、妖怪退治をすると言いますが、
三蔵は、もし悟空が妖怪をつかまえられなかったら、わたしをひどい目にあわせるかもしれないと引き止めます。
しかし妖怪が小坊主を食っていることを聞いて、ようやく妖怪退治をゆるすのでした。
夜、悟空は小坊主に化けて、仏殿でお経をとなえていると、世にも美しい女が仏殿にあがってきて、
裏庭にいっていいことしましょ、と色仕掛けでせまります。
妖怪は、裏庭で正体をあらわした悟空と戦いになりますが、不利とみるや、にせものを残し、本物は三蔵をさらって逃げていってしまいました。
妖怪がにせものだと気づいた悟空、あわてて師匠のもとにころがりこんだのですが、もはや手遅れ。
八戒と悟浄がぺちゃくちゃおしゃべりをしているのを見て、カーッとなり、「てめえら、ぶっ殺してやる!」 と棒で打ちまくります。
悟浄はおとなしく下手に出てなだめると、話の飲み込みも早く、潮時もこころえている悟空は考え直し、協力して師匠を探すことにします。
許された八戒は、すべてはおいらが悪いと反省したのでした。
翌朝、悟空はラマ僧から三蔵が助けた女はひと晩だけとまって、あくる日にはいなくなったと聞き、妖怪はその女だとふんで、道を戻っていきます。
そして土地神と山の神を呼び出し、三蔵をさらった妖怪が陥空山の無底洞に住んでいると知ると、一行は南を目指し、けわしい山にたどりつきました。
八戒に偵察に行かせようという悟空に、まっさきにこきつかわれるのねとぼやく八戒ですが、ゆうべ、
すべてはおいらが悪いと言っただろと返され、おとなしく出かけていったのでした。
第82回 〜さらわれた三蔵、戻ってくる。
山におりた八戒、井戸に水を汲みにきた女怪から、これから精進料理の宴席を整え、夜には三蔵と妖怪が夫婦になるという話を聞きます。
すると八戒、山をかけのぼり、三蔵は妖怪と祝言とあげたから、解散しよう! と言い出します。
それをしかりつけた悟空、女怪のあとを追い、大きな石にあいた竪穴を見つけました。
悟空はなかに入り三蔵を見つけると、酒の泡にまぎれ、女怪の腹のなかに入り込もうとしますが、失敗し、今度は桃に化けて、もぐりこむことに成功しました。
そして腹のなかで暴れたあと、女怪に三蔵を背負わせ、八戒と悟浄が待つ入り口へと出てきたのでした。
第83回 〜悟空、李天王らを告訴する。
悟空が女怪のはらから出ると、戦いになりました。八戒と悟浄も三蔵をひとりにして、加勢します。
とてもかなわないとにせものを作って逃げ出した女怪ですが、なんと三蔵が入り口にひとりでいるではないですか。
ラッキーとばかりに女怪は白馬や荷物もろとも三蔵をさらって、洞内へ逃げこんでしまいました。
やがて倒したのがにせもので、またもや三蔵がさらわれてしまったことに気づいた悟空、なかに乗り込んでいきますが、誰一人見当たりません。
「不運が転生した三蔵、災難を鋳固めた取経僧」 と悟空は師匠のことを嘆きますが、香炉に尊父、李天王、尊兄、�犠[口+�芦](ナタ)三太子と書いてある金字牌を見つけるや、
女怪は李天王のむすめに違いないと、それを持って、玉帝に直訴しに行きました。
天界で玉帝に告訴状を奉呈し、金星と一緒に李天王のところへ向かいます。
告訴のことを知り、カンカンになった李天王、自分の娘、貞英はまだ7歳だと、逆に縛妖索にて悟空をしばりあげ、殺そうと刀で斬りつけます。
しかし悟空は平気。金星に、「負けと見せて最後に勝つ」 と豪語しております。
そこへナタ三太子が飛び出し、刀を剣で受け止めたので、李天王は驚いて色を失いました。
実は太子が生まれたとき、左のたなごころに「�犠」の文字、右のたなごころに「[口+�芦]」の文字があったので、ナタと名づけました。
生まれて三日で、大海に飛びこみ、水晶宮を踏んづけるは、龍をつかまえて筋を抜くわで大騒ぎになったので、李天王は後難をおそれ、子を殺そうとしました。
するとナタは怒り、刀で自分の肉をさいて母に返し、骨をえぐって父に返しました。
こうして父の精と母の血を返すと、その霊魂ははるか西方の極楽世界へ行き、み仏に助けを訴えました。
み仏は蓮の根を骨とし、蓮の葉を衣としてから、起死回生の真言をとなえ、ナタは生命を得たのでした。
その後、ナタは父を殺そうとしたので、李天王が如来に救いをもとめると、如来は透きとおるような如意黄金舎利塔を李天王に賜りました。
その塔の各階にはみ仏の像がほどこされ、如来はナタに、み仏を父として恨みをとくようにとさとしました。
以来、李天王は舎利塔を手にしているのですが、今は持っておらず、ナタが刀をさえぎったので、復讐かと思い、驚いたのでした。
すぐさま塔を手のひらにのっけて問うと、ナタは昔、命を助けてやった金鼻白毛ネズミの精がその恩に報いるため、ふたりを父と兄とし、
香火をたやしませんと誓ったことを話し、悟空にいう妖怪の娘とはそのことではないかと答えます。
李天王はやっと思い出し、手ずから縄をほどこうとしますが、そうなると悟空、縛られたまま天帝のところへ行こうとごねはじめました。
このままでは罪はまぬがれないと弱り果てた李天王、金星にとりなしてほしいと泣きつきます。
金星は昔、玉帝に悟空を天界へ呼び寄せるよう進言したことを持ち出すと、悟空は金星の面子を立てて、縄をほどくのを承知します。
李天王は手ずから縄をほどいた悟空を上座に据えるや、詫びのしるしにおじぎしました。
それを見て悟空、金星に、「さっき言ったでしょ? 負けと見せておき、あとで勝つってね」 と言ったのでした。
玉帝に復命すると、悟空は李天王とナタ三太子とともに陥空山に到着。
悟空と太子が天兵を率いて、無底洞に入っていき、隠れていた妖怪らを生け捕りにすると、三蔵や龍馬を連れて洞窟を出てきました。
李天王たちは妖怪を連れて天界へかえり、こうして一行はふたたび旅を続けることになったのでした。
第84回 〜滅法国、到着。
いつしか夏となりました。
老婆に化けた観音が、この先の滅法国では、国王が和尚を1万人殺すと願かけをしており、あと4人で満願になるから行けば殺されるだろうと忠告してくれます。
そこで一行は街道から外れたくぼ地で落ち着き、悟空が偵察に行くことにしました。
悟空は蛾に化け、宿屋から旅商人の服を盗んでくると、三蔵一行はその服を着て城内に入り、服が盗まれたとさわぐ宿の筋むかいの宿をとりました。
そして寝ているときに頭巾がとれて和尚だとバレてしまわないように、錠をかけた大きな長持のなかで寝ることにしました。
白馬も長持につないでおきます。
ところが夜、盗賊が白馬と三蔵らが寝ている長持を奪ってしまいました。
しかし守備軍が追いかけてきたので、ちりぢりに逃げ出し、置いていかれた長持は城に運ばれました。
明日、王の前であけられると知った悟空は夜、こっそり長持を抜け出すと、催眠虫をばらまいて城にいる者すべてを眠らせました。
そしてにこ毛から1100人の小悟空を、金箍棒を1100口ものかみそりに変えて、眠り込んだ皆の頭を剃ってしまったのです。
おつむ剃りが終了すると、また長持のなかにもどっていったのでした。
翌朝、目を覚ますと、後宮の女官も宦官たちにも皇后も王もみな、つるっぱげ。
このありさまを見た国王、和尚を殺めた報いだと涙をこぼします。
朝のまつりごとに出ると、参内してきた役人たちもことごとく丸坊主だったのでした。
第85回 〜三蔵、またもやさらわれる。
頭髪を失った国王は君臣とともにひとしきり涙を流し、これからは二度と和尚を殺さないと誓い合ったのでした。
やがて国王のまえに長持が運ばれ、蓋が開けられました。
八戒が飛び出し、続いて三蔵をたすけながら悟空が、悟浄が荷物を運んで出てきます。
彼らが和尚だと知った国王は、あわてて玉座からおり、群臣と一緒に拝しました。
和尚を殺すと願かけした理由は、かつてある僧が国王を誹謗中傷したからだとか。
しかし全員頭髪を失ったことで、仏教に帰依し、僧にさせられることになったと、国王は宴会をひらき、君臣ともども三蔵を師として拝します。
それから通行手形に玉璽を捺すにあたり、三蔵に国名を変えていただきたいとお願いしました。
すると悟空が、欽法(きんぽう・欽は敬と同じ意味)国とあらためては、と言ったので、国王は礼をのべ、一行を西の城外まで見送ったのでした。
道すがら、悟空が変化の術を駆使し、城の者たちの頭を剃った話を聞いた三蔵たちは大笑い。
やがて行く手に高い山が見えてきました。
山のてっぺんにつき、さらに進んでいくと、いきなり風が吹いてきます。
絶対に自然の風ではないとこわがる三蔵。今度は霧が湧いて、さらに怖がるので、悟空は様子を見にいきました。
すると崖のふちに手下どもを連れた妖怪がいて、風を吹きだしたり、霧を吐いたりしているのでした。
悟空は八戒を妖王と戦わせようと、三蔵のもとにもどってくると、霧は妖怪のせいではなく、僧侶にあげる饅頭をふかしている湯気だといいます。
それを真に受けた八戒、馬のために草を刈ってくるといって三蔵のもとを離れ、和尚に化けて、先に食べに行ったのでした。
しかし飛び込んだのは妖怪のなか。悟空のほらにだまされたと知った八戒は正体をあらわして、まぐわでめちゃくちゃに突きまくります。
鉄の杵をぶん回しながらやってきた妖王に八戒は洗濯棒(杵)の使い方がうまいから、もとは染物屋だろうといい、相手はカンカン。
激しく戦うことになったのでした。
一方、悟空は八戒のことを笑っていましたが、敵につかまったら面倒だと、身代わりを残し、様子を見に行きました。
妖怪どもに包囲されているのを見ると、加勢にかけつけ、勢いづいた八戒の攻撃に妖王は手下を率いて退散します。
悟空は一足先に戻り、ややあって八戒が戻ってきましたが、勝ってきたものの疲れはて、口から白い泡をふいて、あえいでいます。
八戒は地団駄ふんで悔しがり、悟空にだまされたと三蔵に訴えますが、悟空は八戒に花を持たせてやると言って、先頭を歩かせたのでした。
さて、洞窟に逃げて言った妖王ですが、今は自分の手下となっている獅駝洞(第74〜77回参照)の妖怪から悟空のことを聞き、びっくり。
しかし別の手下が、3匹の妖怪を妖王に化けさせ、悟空たちと戦わせているすきに三蔵をつかまえればいいと進言します。
さっそく手下の3匹の妖怪を妖王に化けさせて待ち伏せし、八戒、悟空、悟浄とそれぞれ戦っているすきに本物の妖王が三蔵をさらうことに成功。
裏庭の木にしばりつけられ、泣きじゃくっている三蔵。すぐ向かいの木にも樵夫が縛られており、年寄りの母がいるのにとお互いの境遇を嘆きます。
こちらは悟空、にせものの妖王を倒し戻ってくると、三蔵がいません。
あわてて馬を引き、荷物をかつぐと、山のてっぺんめざし、探し回るのでした。
第86回 〜三蔵をたすけ、南山大王を倒す。
悟空は馬をひっぱり、荷物をかつぎながら、三蔵を探しますが見つかりません。
八戒、悟浄も合流し、妖怪の計略にまんまとひっかかったことに気づきます。
やがて崖の下に洞窟を見つけました。門の上の石版には「隠霧山(いんむざん)折岳(せつがく)連環洞(れんかんどう)」の文字。
八戒が石の扉に大きな孔をあけると、さっさと師匠を返せと声を張り上げます。
そこで妖怪は柳の木の根を生首にみせかけ、放り投げました。八戒と悟浄は泣きますが、悟空はにせものだと見破ります。
すると今度は食べ残した別の人間の生首の頭皮をかじりとり、つるつるにしてから投げてよこしました。
本物の生首に悟空たちは泣きだし、墓を作って弔います。
師匠のかたき討ちに悟空と八戒が洞府にのりこむと、妖王は南山大王と名乗り、一斉攻撃に出たので大乱戦。
悟空はにこ毛を小悟空に変化させ、それぞれに金箍棒を持たせ進撃させると、妖怪たちは洞窟へと敗走していきます。
南山大王も洞窟に逃げ込んで門をふさいでしまったので、いったん戻り、悟空が裏門からしのびこみました。
妖怪たちの会話から三蔵が生きているのを知った悟空、ついに木にしばられている三蔵を見つけます。
悟空はにこ毛を催眠虫に変え、妖怪たちを残らず眠らせると、妖怪どもをぶっ殺してから三蔵を助けるか、それとも三蔵の縄を先にほどくかと、
行ったり来たりするので、それを見た三蔵が、うれしくて踊っているのかね、というのを聞き、悟空はやっと三蔵のそばにいって縄をほどきました。
樵夫も助けて、三人で洞窟を出て行きます。そして八戒と悟浄も三蔵に再会。
悟空は洞窟にもどると南山大王をつかまえて戻り、洞窟を焼き払って、子分を皆殺しにしてしまいました。
そうして三蔵のもとに戻ると、目を覚ました大王を八戒がまぐわで一突き。正体は艾の葉の模様がある豹でした。
一行が樵夫の家に一緒に行くと、年老いた母親が喜んで迎え、野菜料理でもてなします。
街道まで案内した樵夫から、天竺の極楽の地はここから千里もないと聞いた三蔵一行、ひたすら西へと旅を続けるのでした。
第87回 〜悟空、鳳仙郡を旱魃から救う。
隠霧山を出て数日、三蔵一行は天竺国の国境である鳳仙郡に到着しました。
役人から三年も旱魃つづきなので雨乞いができる者を探していると聞き、悟空がそんなのどうってことないと答えると、さっそく使いの者が太守へ報告します。
一行は太守の役所で接待を受けると、雨を降らせるべく悟空が東海龍王敖広を呼び出しますが、玉帝の聖旨をいただいてくださいと言われます。
龍王のいうことももっともだと悟空は玉帝に会うべく天界へ行きました。
玉帝は三年前の12月25日、人々の善悪を視察する旅に出て、鳳仙郡に行ったところ、そこの太守は供物をひっくり返し、犬に食わせただけでなく、罵詈雑言を口にした。
天を天とも思わぬその罪に、玉帝は披香殿に三つの仕掛けをつくり、そのしかけが終わっていたら雨を降らせる許可を与えることにしたのです。
悟空が四大天師と一緒に披香殿に行くと、米の山、麺の山、黄金の錠前がありました。
米の山では鶏のひよっこが一羽、一粒ずつ米をついばみ、麺の山では金毛の狆が一匹、麺をなめています。
そして指先ほどの太さの金のかんぬきを灯明の炎がちろちろと熱しているのです。
ひよこが米をついばみつくし、犬が麺を食いつくし、灯明がかんぬきを熔かして断ち切ったら、しかけは終わり、雨を降らせても良いとのこと。
さすがに悟空も、こりゃだめだ、とがっくりしましたが、四天師は善行を行えば解けるようになっていると聞き、下界に戻ってきたのでした。
悟空は太守を一喝し、事情を聞くと、妻と口論となり、腹立ち紛れにお供え物のテーブルをひっくり返してしまったとのこと。
悟空の話を聞くと、太守はさっそく香をたいて礼拝し、天地にあやまり、自らの罪を悔いました。
三蔵も太守のためにお経をとなえ、まちの人々も香をたき、仏を念じました。
すると三つの仕掛けである米と麺の山は崩れてなくなってしまい、錠前のかんぬきも切れたのです。
玉帝はたいそう喜び、すぐさま雨を降らせる命令をくだしました。
雨がやんだあと、悟空は三蔵に出発をうながしますが、太守が引き止めて放しません。
三蔵たちのために寺院と祠を建てることにし、完成までの半月の間、宴会が続きました。
昼夜問わずの突貫工事で完成した寺はすばらしく、三蔵は甘霖普済(かんりんふさい)寺と名づけます。
寺を見終わり、一行はようやく出発することができたのでした。
第88回 〜悟空たち、武器を盗まれる。
鳳仙郡に半年ぐらい滞在したかったとぬかす八戒を叱りつけたりしつつ、一行は道を急ぎます。
晩秋のころ、天竺国の一地方である玉華県に到着しました。
三蔵は弟子たちを待たせ、通行手形を持って王府へ向かいます。
通行手形に押印すると、王は一行に斎(とき)をさしあげるよう、命じたのでした。
さて、王には3人の息子がおりました。この三人の王子、みな武芸が大好き。
父である王から三蔵の弟子たちのことを聞くと、化けものではないかと武器をもって追いかけていったのでした。
第二王子がまぐわで打ちかかれば、八戒は腰にさしていた自分のまぐわをさっと一振り。
それだけで王子は腰を抜かしてしまいました。
第一王子が斉眉棍を使うのを見た悟空、金箍棒を地面に突き刺し、この棒を君にあげるというので、王子はひっこ抜こうとしますが、びくともしません。
第三王子が烏油棒で打ちかかろうとするところに悟浄が割ってはいり、降妖宝杖を出せば、光が生じ、夕焼け色に輝きます。
三人の王子たちはいっせいにひざまずき、神技をみせてほしいとお願いします。
ここはせまいと、悟空、八戒、悟浄は空中で雲に乗り、型をやったりと妙技をくりひろげてみせると、
王子たちは城に戻り、王にあの方たちの弟子になりたいといいます。
反対する理由はありません。王は王子たちを連れて、三蔵にお願いしにいくと、悟空たちも承諾します。
その日は宴会にあけくれ、翌日、弟子入りした王子が武器を見せてもらうのですが、あまりに重くてびくとも動きません。
彼らの武器はどれも神器なのです。八戒のまぐわと悟浄の杖の重さは、お経一蔵ぶんの数と同じ重さだから、五千と四十八斤。悟空の金箍棒は一万三千五百斤です。
悟空が三人の王子に仙気をふきかけますと、筋骨隆々となり、悟空たちの武器を持つことができるようになりました。
そこで自分の使う武器に応じて、それぞれに習うことになったのですが、神器を使いこなせず、すぐにくたくたになってしまいます。
それで翌日、鍛冶師に命じて、悟空たちのに似せ、ただ軽くしただけの武器を作ることにしました。
金箍棒、まぐわ、降妖宝杖は見本として工場に安置されました。昼も夜も置きっぱなしです。
ところで、少し離れたところに豹頭山という山があり、その虎口洞に一匹の妖魔が住んでいました。
そいつが夜、休んでいると、三種類の武器が光を放っているのを見つけたのです。
すごいお宝を見つけたと大喜びした妖魔、三つの武器をひとまとめにしてかかえこみ、洞窟へと帰っていきました。
第89回 〜悟空たち、武器をとりかえす。
朝、鍛冶師たちが起きてくると武器がなくなっています。
それを知った悟空、武器をほったらかしにした自分たちの失敗だと後悔しました。
やってきた国王から豹頭山の虎口洞に住む妖怪のことを聞くと、悟空はそいつが犯人だと察し、探しに行きました。
山のなかで、宝の武器を手に入れた 「まぐわ慶祝」 の嘉会のためにブタや羊を買いに行く化けもの2匹を見つけた悟空は、
そいつらに定身(かなしばり)の法をかけ、お金を名札をせしめると城に戻ってきました。
そして一部始終を話すと、王にブタや羊を用意してもらい、悟空と八戒は化けものに、悟浄は商人に化けて、山に入っていきました。
途中、また化けものの子分に出くわします。竹節山の九霊元聖あての招待状を持った使者です。
招待状を見せてもらうと、送り主は門下の孫たる黄獅(こうし)と書いてあるので、金毛の獅子の化け物だと予想がつきました。
虎口洞に到着すると、はらがへった商人に飯をくわせてやってほしいといい、3人は洞内に入っていきます。
大広間の二階にそれぞれの武器があるのを見るや、武器を取り戻した3人は正体をあらわし、黄獅に打ちかかりました。
あわてたのは黄獅です。日没まで戦いは続きましたが、とうとう力尽き、東南の方向へ逃げ去ってしまいました。
三人は洞窟にいる子分をことごとく打ち殺すと、その死体と洞窟内のもの、連れてきたブタや羊を残らず城へ運び、洞窟を焼き払いました。
凱旋した悟空の話を聞いて王はよろこびはしたものの、後日報復に来るかもしれないと心配顔をかくせません。
それを察した悟空、招待状の中身から、妖魔は竹節山の九霊元聖のところへ逃げたに決まっている。
きっと報復にやってくるだろうから、そのときに片付けてさしあげますといい、王を安心させたのでした。
一方、妖魔は悟空の予想どおり、竹節山の九曲盤桓洞の老王で、祖父である九霊元聖のもとへ逃げ込みました。
話を聞いた老王は悟空のことを知っていて、自分から面倒を起こす専門家で、なんでもありの疫病神の頭目。
よりによってそんなやつと関りあいになるとは、といいますが、黄獅やまごたち6匹を勢ぞろいさせ、一緒に豹頭山を向かいます。
豹頭山に到着すると、煙火のにおいが鼻をつき、悟空に金縛りにされていた化けもの2匹が泣いていました。
洞窟が焼き払われたと知り、老王や黄獅は玉花州へ攻めよせます。悟空たちも敵を迎え撃とうと城を出たのでした。
第90回 〜太乙救苦天尊、九霊元聖を収服する。
悟空、八戒、悟浄は玉華のまちを出て、妖怪たちとあいまみえました。
化けものの一群は種々様々な獅子ばかり。戦いは半日におよび、日が暮れてきました。
疲れ果てた八戒は逃げようとしますが、妖怪につかまってしまいます。
旗色の芳しくない悟空はにこ毛を抜くや、百人以上の小悟空に変化させると、老王のまごの獅子、二匹を捕らえました。
戦いぶりを見ていた王子たちが帰ってきた悟空が百人以上になったことを聞くと、悟空のにこ毛は8万4千本あって、
一をもって十のおれと化すと、身外身の法を説明します。
それを聞いた王子たちは感服し、悟空を拝するのでした。
翌朝、黄獅たち五匹の獅子は、悟空、悟浄と死闘を繰り広げます。
その間に老王は城に突入すると、9つの口をあけ、三蔵と王と王子三人、八戒をくわえ、竹節山へ戻っていきました。
敵の計略に落ちたと知った悟空、腕のにこ毛を残らずむしりとり、千人の小悟空に変えると、いっせいに攻めかかり、黄獅を殺し、残り4匹の獅子を生け捕りにします。
あくる朝、悟空と悟浄は雲にのって、竹節山にむかいました。
黄獅が殺され、ほかのまごたちもみな捕らえられたと知った老王は、外に出るとあたまをひとふりしました。
すると悟空と悟浄をやすやすとくわえこんでしまったのです。
縄でしばりあげると、黄獅のかたきだといって、子分に悟空の頭を棍棒で叩かせたのですが、悟空は平気。
やがて夜がふけ、子分たちがうつらうつらしはじめると、悟空は遁法の術を使い、縄から抜け出し、子分たちを殺してしまいました。
そして悟浄の縄をほどきはじめたのですが、八戒ががまんしきれず、どうして自分からほどいてくれないんだと大声で叫んだので、老王を起こしてしまいました。
悟浄はつかまり、悟空だけが幾重にもある扉を破って外へ逃げ出します。
悟空がひとり玉華州へ戻ると、三蔵を護る神将たちが竹節山の土地神をとりおさえ、ひったててきました。
竹節山の土地神は、老王はおととし山にやってきて、正体は九つ頭の獅子、あるじは東極妙巌宮にいると教えます。
東極妙巌宮といえば、太乙救苦天尊のお住まい。天尊はたしかに九つあたまの獅子に座していたとしばし考えた悟空、さっそく天尊のもとへむかいます。
話を聞き、天尊が獅子係を呼んでこさせると、獅子係は酒を飲んで三日間眠っていたとのこと。
そのあいだに獅子が逃げてしまっていたのでした。天尊は悟空と一緒に竹節山に行くと、悟空に獅子を外におびきだすよう言います。
悟空は金箍棒を振り回しながら、洞内に攻めこみ、九霊元聖が追いかけて外へ出てきたところ、「元聖児、わたしだぞ!」 と天尊が一喝し、ひと声呪文をとなえました。
すると九霊元聖は戦う気もなくなり、叩頭するばかり。
天尊が獅子にまたがり去っていくと、悟空は洞窟にもどって皆の縄をほどき、洞窟を焼き払ってから城に戻ってきました。
とらえられていた獅子たちは殺され、肉は民にも分配されました。
そうこうしているうちに、王子たちの武器が完成しました。金箍棒は千斤(約600?)、九歯のまぐわと降妖杖は八百斤です。
そこで悟空たち3人は王子3人に一対一でそれぞれの武器を操りつつ、奥義を伝授し、王子たちは七十二般もの術を会得したのでした。
王は金銀をお礼の気持ちとして進呈しましたが、悟空が受け取らないので、錦の法衣をつくって贈りました。
3人は大喜びでそれを頂戴し、荷物をまとめて出発したのでした。
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