史実の玄奘のおよそ16年(629?〜645)にもおよぶ西天(天竺・インド)への取経の旅は、
彼の死後(664年)神秘化され伝説となりました。 作者は呉承恩(1500?〜82)とされていますが、実際は複数の執筆者がいたと思われます。 数字や五行が密接に関係した論理的な構成になっており、「文字遊戯」の側面もあります。 |
玄奘(三蔵) |
唯一の人間だけあって、とっても無力で役立たず。 幼名は江流、父は賊の劉洪によって川に突き落とされ、三蔵を身ごもっていた母は劉洪の妻にさせられる。 劉洪に殺されることを懸念した母によって、生まれてすぐ川に流され、金山寺の和尚に拾われた。 18歳になった時に「玄奘」という法名を授けられる。自らの出生の秘密を知ると、母方の祖父である丞相の殷開山に頼み、 父の仇を討ってもらい、そののちに長安の洪福寺にて僧官となる。 感情で緊箍呪を唱えることが多く、悟空がかわいそうに思えることがたびたび。 美男子といわれるが、どうやら色白のぽっちゃり系らしい。 如来の二番弟子である金蝉子の生まれ変わりで、十世に渡り修行を積んだとびきりの善人だから、 その肉を食べると長寿まちがいなしということで妖怪によく狙われる。 |
悟 空 |
500年前、天界をさわがせたため、三蔵がくるまで石牢に閉じ込められていた石ザル。 十二支で言えば、申は西。なので五行は金。しかし火眼金睛(あかめ)なので火にも該当する。 弼馬温(ひつばおん)と呼ばれるのが何より嫌い。犬が苦手。ほかに斉天大聖、孫行者、金公、心火、心猿とも呼ばれる。 |
八 戒 |
天の河の水軍を統率する天蓬(てんぽう)元帥だったが、西王母の蟠桃会で酔っ払った挙句、
嫦娥にいいより、暴れたため、死刑を宣告された。 しかし太白李金星の助命嘆願により、鎚打ち200に減刑。地におとされたが、投胎に失敗し、牝ブタから生まれてきた。 食い意地が張っており、色気に弱い。 十二支で言えば、亥は北。なので五行は水。同時に五行相生と三合の理で木にも配当される。別名、猪悟能、木龍、木母、肝木。 第18回で登場するのは、十と八をたすと、木になるから。 中国に猪という苗字は存在せず、もとは朱八戒だったが、明の皇帝の姓が朱だったので、同音の猪に変更になったと思われる。 |
悟 浄 |
捲簾(けんれん)大将だったが、宴会でうっかり玻璃の杯を落としたため、玉帝の怒りにふれ、
死刑になるところを赤脚大仙のとりなしによって、流沙河に流された。前世の三蔵たちを食べたのは彼。
別名、沙和尚、刀圭、二土、土母、脾土。 第22回で登場するのは、二十二をつなげて書くと、圭になるから。 悟空と八戒の仲裁役であり、中央に対応する色が黄色なことから黄婆の異名もある。 |
玉 龍 |
西海龍王、敖潤の息子だが、火事を起こし、宮殿の明珠を焼いてしまったため、死罪になるところを観音に救われた。 角を切られ、鱗をはがされ、観音がうなじの下の珠もつまみとり、三蔵を乗せる白馬に変化。別名、意馬、龍馬三太子。 |
観音(観世音菩薩) 如来の意思を受け、取経者を探しに東土へおもむき、玄奘を見つける。 旅の途中、何かと助けてくれることが多い。 |
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顕聖二郎真君 玉帝の妹が俗界に憧れ、天からくだり、楊君と夫婦になった。仙人の母と人間の父を持つ。 武芸にすぐれ、大暴れする悟空をつかまえた。犬を飼っている。 |
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木叉(もくさ) 観音の弟子で恵岸行者とも。 托塔李天王(毘沙門天)の次男で、ナタの兄。 |
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ナタ 托塔李天王(毘沙門天)の三男。 神通力のすごさを父である李天王がおそれ、殺そうとしたことを知ると、自ら肉と骨をはぎ、親に返した。 その後、如来に助けを求め、蓮の根と葉で肉体をつくってもらい復活した。 |
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牛魔王 悟空とは義兄弟の仲だが、今は敵同士。 妻は芭蕉扇を持つ羅刹女。息子は紅孩児。 |
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紅孩児(こうがいじ) 牛魔王の息子。火炎槍を持ち、三昧の真火をあやつる妖怪。 のちに金箍を嵌められ、観音の従者となった。 |